夏のヤマネ
蓼科山荘のこの夏のラスト来訪者が帰ったその夜、静けさを見計らったように、またヤマネがやってきた。久しぶりにカエサル(塩野七生;ローマ人の物語)を読んでいた深更、微妙な物音に気づいて室内あちこちの照明をつけると、いた!、ヤマネが…..。
驚き。ちょうど直前の第一作業班(食事班)のN親方だったかから質問があった。「最近ヤマネは来ないんですか?」と。答えて小生曰く『夏にはヤマネは来ない。何故なら山に食べ物があるから。彼らが来るのは、冬眠に入る前の晩秋か、冬眠あけの春だよ。』このまことしやかな説明はおおウソだったことになる。わお。
しばらく室内を散策したヤマネは、吊り下げてあった唐辛子を齧るそぶりなどしたあとに、開け放ったガラス戸から、するりと外の闇へ消えた。 さてこの山荘は比較的密閉度の高い構造だが、木造であるので、どこかにヤマネルートがあるのだろう。それは謎のまま。ともあれたびたびのヤマネ来訪に思う、この蓼科山荘は、別名「ヤマネ山荘」だと。
また気が向いたら来てもいいよ、とほのぼの気分の夜だった。